損害賠償請求について
交通事故の被害に遭ったとき、警察での事故処理手続や相手方の保険会社や連絡先の確認をした後は、まず治療に専念することが大切です。
怪我がどうなるかもわからない間は、損害額(治療費や慰謝料の額)も確定していませんので、適正な額での示談のしようがないのです。
治療を始める前や継続中に、相手方やその保険会社から示談の申入れや損害賠償額の提示を受けたとしても、「まだ損害額が確定していない」ことを伝えましょう。
ただ、治療に事故から何年も費やすような場合は、時効の問題がありますので、一度ご相談いただくことをお勧めします(その場合も、慌てて示談をする必要はありません)。
治療が一段落して、後遺障害等級認定手続も終わったとき、はじめて損害賠償請求について検討することになります。
このとき、相手方の保険会社から「これだけ支払いますので、書類にサインしてください」と損害賠償額の提示を受けることがあります。
ただし、その書類は、保険会社が「この金額を支払います」という約束であると同時に、被害者が「この金額以上は請求しません」という約束でもあります。
書類には「免責証書」といった名前がついていると思いますが、つまり、「この金額以上の責任を免除する」という書類なのです。
その金額が妥当なものであれば問題ないのですが、そこにサインをしてしまえば、示談成立=最終解決ということになりますので、サインをする前に本当にその金額が妥当なのかじっくりと内容を検討しなければなりません。
金額が不当に安ければ、交渉したり、下記のような手続きを検討しましょう。
損害賠償のための手続
示談(任意交渉)
示談は、話し合いによってお互いに合意ができた条件で解決する方法です。
法律的には、「和解契約」という契約を締結することになります。
裁判所を通さずに当事者同士の話し合いで解決を図るため、簡易迅速に進めることが可能です。
ただし、相手は保険会社の担当者が交渉の窓口になっていることが多く、交渉力や情報量の差から、被害者が大幅な譲歩を迫られる可能性があります。
また、一般的に、保険会社は、社内ルールにより賠償額に一定の上限を設けていますので、本当に妥当な金額での示談に応じてくれないことが多くあります。
示談交渉をする場合も、まずは専門家に相談し、場合によっては被害者側も代理人を付けて交渉することが効果的です。
訴訟(裁判)
示談交渉によって合意が成立しない場合、裁判所に訴えることができます。
判例等の蓄積により、交通事故における損害賠償額にはある程度の基準があり、それは一般的に、上記の「保険会社の社内ルール」より高額になっています。
また、損害賠償額というのは、本来個別の事案ごとに算出すべきものであって、事案によっては基準以上の金額が妥当なことも少なくありません。
裁判になれば、裁判所が社内ルールに縛られることはありませんし、相手方もそれはわかっていますから、それを前提に妥当な金額で和解(裁判上の和解)が成立することもあります。
相手の提示した額が妥当でない場合は、無理に示談をすることなく、裁判所に訴えることをお勧めします。
「裁判なんて面倒なのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、その面倒な手続をサポートするのが司法書士の仕事です。
当事務所にご依頼いただければ、訴状を書いたり準備書面を用意したりといった、面倒な作業は全て代行いたします。
手間を省きつつ、適正な額の損害賠償額を支払ってもらうため、是非司法書士をご活用ください。
交通事故紛争処理センター
示談と裁判の中間的な手続きとして、裁判外紛争処理(ADR)という手続があります。
これは、当事者同士の話し合いではなく、中立的な第三者が間に入って、和解の成立をあっせんしてもらう手続です。
交通事故におけるADRとしては、「交通事故紛争処理センター」という機関があり、交通事故の損害賠償では非常によく使われています。
保険会社の社内ルールに縛られず、「裁判になったときに認められる額」をベースとした条件が提示されることが多いのでオススメです。
ただし、裁判と違って、争いが大きい場合(例えば、過失割合で争っている場合など)は、利用できないか、利用しても和解が不成立に終わることもあるので、注意が必要です。
損害賠償請求に関するご相談
当事務所では、損害賠償請求に関する各種手続のサポートを行っております。
事案に応じて最適な方法をご提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください