慰謝料
慰謝料には3種類あります
交通事故の被害者にとっては、支払った治療費や交通費といった金銭的な損害(財産的損害)だけを賠償してもらえれば気が済む、というものではありません。
怪我をさせられたような場合は、肉体的にも精神的にも苦痛を受けているため、「治療費を払えばそれで損害が全て補填された」というのでは到底納得できないでしょう。
すなわち、この精神的苦痛(非財産的損害)に対する賠償が「慰謝料」です。
交通事故における慰謝料には、次の3種類あります。
- 傷害慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
いずれも性質としては苦痛(精神的損害)に対する賠償であることに変わりはないのですが、「どの苦痛に対する賠償か」が違います。
そして、「どの苦痛に対する賠償か」に応じて算定方法が異なります。
また、慰謝料額は計算方法によっては大幅に違いが出てきますので、被害者としては、自身に有利な計算方法により計算しないと損をするかもしれません。
傷害慰謝料
傷害慰謝料は、傷害(怪我等)に対する慰謝料です。
怪我の治療期間に応じて算定するので、通院慰謝料と入院慰謝料に分けることもでき、併せて「入通院慰謝料」ということもあります。
傷害慰謝料の計算方法は、自賠責基準と裁判基準で大きく異なります。
自賠責基準の場合、「1日につき4,200円」とされています。
この日数の計算は、「治療期間」と「実通院日数の2倍」を比べて、その少ないほうの期間をいいます。
例えば、4月1日に通院を始めて9月30日に症状固定したとします。
その6か月(183日)間に、仮に実際に60日病院に行ったとすれば、「183日>60日×2(=120日)」なので、日数は120日となります。
仮に、この間に120日病院に行ったとすれば、「183日<120日×2(=240日)」なので、日数は183日となります。
こうして算出した日数に4,200円を掛けた額が、自賠責基準の傷害慰謝料額ですので、前者の場合504,000円、後者の場合768,600円となります。
他方、裁判基準では、「慰謝料表」という基準表によって計算します。
自賠責基準と違って若干複雑なのですが、上記のように6か月通院したとすれば、傷害の内容や重症度に応じて80~150万円程度となります。
後遺障害慰謝料
後遺障害に対する慰謝料で、治療期間が終わった後にも後遺障害が残った場合に支払われることになります。
すなわち、症状固定後にも続く精神的苦痛に対する賠償です。
自賠責基準でも裁判基準でも、傷害慰謝料ほど複雑な計算はなく、等級ごとに基準が決まっています。
例えば、後遺障害等級が最も軽い14級であれば、自賠責基準で32万円、裁判基準では約110万円です。
最も重い1級(別表第一)の場合は、自賠責基準で1600万円、裁判基準では約2800万円です。
死亡慰謝料
被害者の死亡に対する賠償で、死亡と同時に発生すると観念されており、実際には遺族(相続人)が請求権を相続して請求することになります。
自賠責基準では、被害者固有の慰謝料として350万円、遺族の慰謝料として人数に応じて550~750万円です。
裁判基準では、被害者と遺族の慰謝料を併せて、2000~2800万円程度となります。
交通事故の慰謝料に関するご相談
精神的損害に対する賠償である慰謝料の額は、事案によって全く異なります。
相手方が提示してきた慰謝料額に不満のある方、適切な慰謝料額が分からず困っている方、まずは当事務所にご相談ください。