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総合支援型後見監督人

大阪家庭裁判所では、親族(専門職以外の第三者)が後見人に選任されるケースについて、「総合支援型後見監督人」を選任する運用が令和4年2月から開始しました。
これは、必ずしも不正が疑われる事案に限らず、一定の例外を除く全件に後見監督人を選任し、親族後見人に成年後見制度や後見人としての事務の進め方について理解を深めてもらうことを目的とした制度です。

総合支援型後見監督人とは何か

総合支援型後見監督人も、法律上の地位としては、通常の成年後見監督人と同じです。
ただし、期待されている役割(裁判所が監督人を選任する目的)が異なり、民法851条に「後見監督人の職務」として規定されているような、後見人の不正行為を防止したり、不適切な行為に対して是正・指導するといった、狭い意味での「監督」ではなく、より積極的(能動的)に助言・指導すること(総合的な支援)に重点が置かれています。

もちろん監督人である以上は、従来的な意味での監督も行いますが、不正防止のため特に監督人が必要な案件(資産多額、複雑、不適切な行為の兆候があるケース等)で選ばれるのではなく、基本的に親族後見人が選任される全件に監督人を選任します。
ただし、継続的な不正防止のための監督をするものではありませんので、一定期間(原則として選任から9か月)経過後に全て辞任することになります。

もっとも、親族後見人として不適切であったり、特に監督が必要なケースであると家庭裁判所が判断した場合は、後見人の交代が検討されたり、従来型の(「監督」を主眼とした)後見監督人が選任されることはあります。

総合支援型後見監督人制度の運用開始の背景

適切な親族後見人候補者がいる場合は、できるかぎりその候補者を選任することが望ましいと考えられます。
そうはいっても、後見事務というのは「法律に基づいて家庭裁判所の監督下で他人の財産を管理する」(たとえ親族であっても「親族として」ではなく「後見人として」の義務と責任を負う)という特殊性があって一定の困難を伴うものであり、専門知識をもたない親族等が支援もなく事務を処理すると、不正や不適切な事務の原因にもなりかねません。
知識やノウハウがないまま後見人に選任された親族による不正や不適切な財産管理が多発していることが、裁判所が親族後見人の選任について消極的となる一因ともなっています。
また、本人の意思尊重や意思決定支援といった基本的な考え方は、親族後見人も身に着けていなければ本人の利益を損なうことになります。

ところで、成年後見監督人は、後見人による不適切な事務、不正の防止を目的とした制度ですが、そのために必要な一定の指導・助言・相談対応等といった事実行為を行うことも想定されています。
そのような監督人の「支援」の側面を特に重視して、親族後見人の後見制度の理解を深め、誤解を正し、適切な後見事務が行われるよう積極的に支援することで、結果的に不正・不適切な後見事務を防止することが期待されています。

従来型後見監督人との主な違い

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