成年後見に関するよくある質問
成年後見制度が利用できるケースについて
Q1.頭はしっかりしているのだけど、体が衰えて銀行に行くのも大変。成年後見人を選任して財産管理をしてもらえますか?
法定後見制度も任意後見制度も、判断能力が不十分な方を支援する制度です。
したがって、「判断能力は十分だけど、財産を管理してもらいたい」という状態では、成年後見人を選任することはできません。
この場合、財産管理を専門家に依頼したいときは、「財産管理委任契約」を利用することができます。
また、将来に備えて任意後見契約を締結しておくことはできます。
Q2.成年後見制度ってお金持ちのための制度ですよね?
成年後見は、資産の多寡にかかわらず利用されています。
「後見人」「財産管理」というと、多額の資産を持った人が利用する制度のような誤解をされることもありますが、決してそんなことはありません。
ご本人の資産に応じて必要な支援の内容は異なるでしょうが、どんな方でも「財産を守る」ことが大切であことに変わりはありません。
介護サービス等の契約手続の代行、銀行の預貯金の管理など、必ずしも「お金持ち」でなくても財産管理が必要な場面は多くあります。
Q3.後見人が必要なのって、寝たきりの人とか重度の障害者だけの話ですよね?
成年後見制度には色々な選択肢があり、軽度の認知症や精神障害・知的障害をお持ちの方でも利用できる制度になっています。
例えば、法定後見の「補助」という類型は、判断能力の低下の程度が比較的軽い方のための制度です。
また、任意後見制度は判断能力が十分ある方が契約するので、若くて元気な方でも利用可能です。
「少し不安なので、今のうちに備えておこう」という場合でも気軽に利用可能です。
申立てについて
Q4.誰でも後見人になれるの?
基本的には誰でもなれます。
未成年者や破産者などの一部の例外を除き、法定後見人になるための資格というのは存在しません。
しかし、法定後見の場合、親族等を候補者としていても、場合によっては専門職後見人(司法書士、弁護士、社会福祉士)が選任されることがあります。
また、親族後見人に対し、司法書士や弁護士による「後見監督人」が選任されることもあります。
他方、任意後見人は、信頼できる相手であれば誰を選んでも構いません。
ただし、一般の方による任意後見は、必ずしも監督体制が十分とはいえないので、財産管理を任せる相手は慎重に選びましょう。
Q5.法定後見を申し立てる場合、成年後見人が選任されるまでどれくらいの時間がかかるの?
事案や裁判所の事情にもよりますが、手続だけなら最短で2~3か月程度で終わりますが、申立てをすることを決めてから本格的に後見人の仕事が始まるまでだと、半年程度はみておくとよいでしょう。
法定後見を申し立てる場合、まず医師に診断書を書いてもらう必要がありますので、診断書ができるまで1週間~2週間程度をみておきましょう。
その間に、申立ての準備をしつつ、家庭裁判所に申立ての予約をいれます。
すいている時期であれば、2~3週間後くらいにできますが、混んでいるときや申立人の都合次第で、1か月~1か月半後くらいになります。
また、家庭裁判所調査官に出張してもらったり、鑑定が必要とされる場合などは、さらに時間がかかります。
審判がなされるのは、複雑でなければ、申立てから1週間~2週間くらい、場合によっては1~2か月くらいかかることもあります。
審判後2週間で確定し、その後1か月以内に財産目録の提出をすれば、本格的な後見人としての業務が始まります。
後見人の仕事について
Q6.認知症の親が多額の定期預金を持っているが、子が後見人になってその財産を活用することはできますか?
後見人は、被後見人の財産を本人のために使用しなければならず、専ら後見人の利益のために使うことはできません。
成年後見制度は、あくまでも、本人の財産を保護する制度であり、後見人は本人の意思の代行者です。
したがって、誰が後見人になったとしても、本人の財産は本人のために使わなければならず、専ら後見人やその他の人のために使うことはできません。
もちろん、家族で扶養義務があるような場合や、家族の利益が本人の利益にもなるような場合など、ケースバイケースですので、どこまでの範囲が許されるかは、裁判所とも連携しながら後見人が適切に判断することになります。
家族間で利害関係が一致しないような場合は、最初から専門家に後見人になってもらうというのもひとつの手すし、既に後見人となっている場合は、専門家のアドバイスを受けることもできます。
成年後見に関する質問は当事務所まで
ここでご紹介したのは、一般的な質問と回答です。
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