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「親亡き後」等の問題

子が何らかの「精神上の障害」(統合失調症のような精神障害、知的障害、高次脳機能障害など)をもっている場合、親がその子の生活や財産管理をサポートしていることが多くあります。
家族として子の生活全般をサポートすることは大変なこともありますが、親が心身ともに健康な間は、何とか問題なくやっていけることも少なくないと思われます。
しかし、親自身も高齢化し、体力や判断能力が衰えてきた場合、あるいは、自分が死んでしまった場合に子の生活はどうなるのだろうか?と不安を抱えておられる方も少なくないでしょう。
また、親が亡くなるということは、相続等が発生しますので、相続手続きの問題も生じます。

年齢の関係で、サポートしている親の方が先に亡くなることが多いため、精神障がい・知的障がいの方の親が亡くなった場合にご本人をどう支えるか、という問題が生じます。
このような問題は、「親亡き後問題」といわれます。

ここでは「親亡き後」に限らず、親が高齢化した後の問題も含めて取り上げてみたいと思います。

「親亡き後」に備えた成年後見の活用

精神障害・知的障害をお持ちの方の財産について、同居している親等が事実上管理していた場合、その親が亡くなれば、適切に財産管理をする人がいなくなってしまいます。
あらかじめ子に成年後見人が選任されていれば、成年後見人が法的な権限をもって適切に財産管理を行うことが可能となりますし、親が亡くなったとしても財産管理や身上監護に支障が出ません。
また、亡くなった親の相続手続についても、成年後見人がいることでスムーズに進むことになります。

成年後見制度は、認知症等の高齢者のために活用されることが多いですが、認知症に限定した制度ではありません。
精神障害・知的障害の方の財産管理や生活のサポートのためにも利用することができ、実際に当事務所でも精神障害・知的障害の方の成年後見人としてサポートを行っています。

軽度~中度の障害のある方が成年後見制度を利用する場合は、必ずしも、全面的に財産管理権を付与する「後見」類型である必要もありません。
本人の障がいの程度によっては、「保佐」や「補助」といった軽度の障害を対象とした類型を利用することも可能です。
この場合、基本的には本人が自分でできることは自分で行い、保佐人や補助人は、多額の財産管理や複雑な契約をサポートしたり、あるいは同意権・取消権によって財産的被害を防止することになります。

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成年後見制度の具体的な活用方法

親が子の成年後見人となる

親が元気なうちは、財産管理も含めて、障害をもった子の生活全般を支えることが適切な場合があります。
親が成年後見人になることで「事実上の財産管理」から「法的な権限を持った財産管理」になるので、例えば預金の引き出し等でも、本人の代わりに後見人である親がスムーズに手続きを行うことが可能です。
また、同意権や取消権を持つことで、財産的被害も防ぐことが可能です。

後見人には、裁判所への報告や財産目録の作成など、色々な仕事があって大変なこともありますが、親族後見人の仕事を司法書士等の専門職が個別にサポートすることも可能です。

親自身が高齢化等で後見人としての職務を果たせなくなった場合は、専門職を追加選任したり、場合によっては専門職に交代することで、支援を続けることになります。

その後、後見人である親が亡くなったときは、仮に親族等がいなくても、後任の後見人は職権で選任されますので「親亡き後」の子のサポートが継続します。

専門職が子の成年後見人となる

親が後見人となることが大変な場合は、最初から専門職後見人を選任することも可能です。
この場合は、親が高齢になった場合はもちろん、亡くなった後も特に手続きを経ることなく専門職が子のサポートを続けることになります。
専門職が選任されていれば、相続手続き等でも安心です。

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親が任意後見契約をする

親が高齢になって心身ともに衰えたとき、子が親の生活のサポートをしたり、成年後見の申立てができれば財産管理の問題も生じません。
しかし、子が障害等で、親の財産管理を行ったり成年後見の申立てをしたりすることが難しい場合は、問題が生じかねません。
仮に子に成年後見人等がついていたとしても、子の成年後見人は親の財産まで管理することはできないので注意が必要です。

そこで、そういう場合に備えて、障害のある子ではなく、親自身が第三者(司法書士等の専門職)と任意後見契約を締結しておけば、仮に親が認知症になったとしても、速やかに任意後見人が就任して財産管理を行うことができます。
また、場合によっては同時に財産管理等委任契約や死後事務委任契約を締結しておくことで、認知症になる前や、親が死んだ後の諸手続きについても、サポートを受けることができます。

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「親亡き後」の問題は司法書士にご相談ください

当事務所は、成年後見の専門家である司法書士が、積極的に成年後見業務に取り組んでおります。
精神障害や知的障害のある方の親が、将来の不安を解消するために、成年後見制度の利用を検討される事例もあります。

成年後見制度の利用を検討されている方や詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。

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