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裁判所に提出する書類

裁判所の手続きは書面で進められる

裁判所の手続きは、基本的には全て書面で行われますので、当事者が必要な事項を書面にまとめて提出しなければ手続きが進みません。

また、市役所等の手続きのように、用意された書類の穴埋めをするのではなく、自分で必要な書類を作成し、提出しなければなりません。
一部の手続きでは、裁判所に定型書式が用意されているものもありますが、そこに何を書くかは当事者に委ねられています。

裁判手続の中でどのような書類が必要になるのか、代表的なものをご紹介します。

当事者が作成して提出する書面

訴状

訴えを提起するときに提出する書面です。
訴えの提起は、原則として訴状を裁判所に提出してすることになっていますので、非常に重要なものです。

訴状では、当事者(原告は誰で、被告は誰か)を表示し、どのような判決を求めているのか(請求の趣旨)や、どのような理由でその請求をしているのか(請求の理由)など、原告の主張を法的に整序して記載します。
紛争に関係する様々な事実をただ羅列するのではなく、法的に意味のある主張内容になっていなければ請求が認められませんので、訴状には、主張を正当化するために必要な事項を過不足なく記載することが求められます。

なお、上記のとおり、訴えの提起には訴状の提出が必要ですので、いきなり裁判所の窓口に行って、「あいつを訴えたい」と口頭で訴えても、それだけでは訴訟手続は始まりません。
法律上、簡易裁判所では口頭での訴え提起が認められていますが、実際には、窓口で書面にまとめるよう促されるのが一般的です。

答弁書

訴状とは逆に、訴えられた側(被告)が、訴状に記載された原告の主張に対する答弁を記載して裁判所に提出する書面です。
争いがあるから訴訟になっているので、多くの場合、原告の主張に対する反論を書いて、請求の棄却を求める内容となります。
「原告の主張を全面的に認める」という答弁書もないことはないですが、もし一部でも争うのであれば、答弁書の中できちんと反論しておかなければ、場合によっては原告の主張を認めた(自白した)ことになって、敗訴する危険もあります。

準備書面

訴訟において、当事者の主張は「準備書面」という書面に記載して提出します。
典型的には、原告が主張を記載した訴状を提出し、それに対して被告が反論を記載した答弁書と提出し、答弁書に対する再反論を記載した準備書面を原告が提出し、さらに被告が原告の準備書面に対する再々反論を記載した準備書面を提出…といった具合に続きます。
したがって、訴訟の進行に従い、原告側・被告側とも、第一準備書面、第二準備書面、…といくつもの準備書面が提出されることが一般的です。

訴訟では、1か月に1回程度、裁判所で「口頭弁論期日」が開かれて、そこで当事者双方が「弁論」をするわけですが、実際の弁論では、「(準備書面記載のとおり)陳述します」の一言に凝縮されて行われます。
テレビドラマのように、裁判所で自己の主張を演説することはなく、全て準備書面の中に記載します。
そのため、現実の裁判手続というのは、弁舌の巧みさなどは全く関係なく、いかに「きちんとした書面」を作成できるかにかかっているのです。

証拠説明書

裁判は、証拠に基づいて行われます。
契約書や領収書などの文書を証拠として提出する場合などに、その証拠(書証)を提出して何を立証しようとしているのかを説明する書面です。

これを提出しなければ手続きが進まないものではありませんが、民事訴訟規則において、文書の記載から明らかな場合を除き、提出しなければならないと規定されています。
訴訟手続を円滑に遂行し、かつ、自己の主張をわかりやすく裁判所や相手方に伝えるために、きちんと提出すべきです。

準備書面と同様、書証を提出するたびに何通も提出されます。

証拠申出書

誰か証人を裁判所に呼んで、その人の証言を証拠としたい場合、証人尋問という手続きを行います。
尋問をする証人を申し出る際に提出する書面です。
誰に対して、どのような内容の尋問をするかといった内容を記載します。

反訴状

誰かに訴えられた場合、その請求に対して応戦する(応訴)だけでなく、逆に訴え返すこともあります。
例えば、交通事故において車両の修理費の支払を求めて損害賠償請求をされた場合に、訴えられた側の車にも損害があり、かつ、訴えた側にも一定の過失があれば、その限りにおいて訴えた側も加害者であるといえます。
そのときは、逆に訴えられた側が自己の車の修理費の支払いを求めて訴えを提起することになります。

訴え返す際に、全く別の事件として訴える場合は、「別訴」といい、通常通り訴状を提出することになりますが、同一手続内で訴え返す場合は「反訴」といいます。
反訴を提起する際に提出する訴状を反訴状といいます。

控訴状・控訴理由書

第一審判決に不服がある場合、上級裁判所(原審が地方裁判所であれば高等裁判所、簡易裁判所であれば地方裁判所)の判断を仰ぎたいときは、控訴することができます。
控訴をする際に裁判所に提出する書面が控訴状です。

控訴は、判決を受取ってから2週間以内にしなければ第一審判決が確定してしまいます。
時間との勝負になるので、時間がなければ、とにかく簡単でもよいので控訴状を作成して提出しておき、詳細な控訴の理由は後日「控訴理由書」を提出しても構いません。

なお、控訴状は、第一審裁判所(判決を出した裁判所)に提出することになっていますので、提出先を間違えないよう注意しましょう。

上告状・上告理由書

第二審(控訴審)の判決に不服がある場合など、さらにその上級裁判所(原審が高等裁判所であれば最高裁判所、地方裁判所であれば高等裁判所)に判断を仰ぐため、上告をすることができる場合があります。

控訴の場合と違って、上告をするには、控訴審判決に不服があるというだけでなく、憲法違反などの法律に決められた一定の理由が必要になります。

上告をする際は、上告状を作成し、原裁判所(判決を出した裁判所)に提出します。
また、上告をした後に上告理由書を提出しますが、これは上告提起通知書の送達を受けた日から50日以内に提出しなければいけません。

上告受理申立書・上告受理申立理由書

上告をすることができるのは、憲法違反など一定の場合ですが、それ以外でも、判例違反などがある場合は、上告を受理してくれるよう申立てをすることができます。
上告受理申立をする場合は、上告受理申立書と上告受理申立理由書を作成し、提出します。

上告状と同じく、原裁判所に提出します。

抗告状

裁判所の決定や命令に対して不服を申し立てることができる場合があり、これを「抗告」といいます。
抗告をする場合は、抗告状を原裁判所に提出します。

申立書

訴えの提起の場合、裁判所に提出する書類は「訴状」といいますが、それ以外に裁判所に何かを求める場合、各種申立書を提出します。
例えば、成年後見開始の審判を求める場合の後見開始の審判申立書、遺産分割調停を求める場合の遺産分割調停申立書、支払督促を求める場合の支払督促申立書など、その種類は無数にあります。

裁判所に求める手続きに応じて必要な事項を記載し、さらに必要な書類を添付して提出しなければなりません。

陳述書

特に法律で決められたものではありませんが、当事者や証人の証言を書面にまとめたものです。

上記の書面とは少し性質が違い、裁判所に何かを求めたり主張を伝えるために作る書面ではなく、証拠として提出するものです。
証人尋問の代わりに使ったり、陳述書に沿って証人尋問をしたりします。

裁判書類作成に関するご相談

誰かとトラブルになった場合や、裁判所への申立てが必要な場合、各種書類を作成して提出しなければなりません。
訴えの提起、訴えに対する反論、成年後見の申立て、相続放棄、離婚調停など、裁判所に対して行う手続きは様々です。

必要な書類を適切に作成しなければ、手続が進まなかったり、不利益を被ったりする可能性があります。
裁判所の手続きが必要になり、書類の作成でお困りのときは、お気軽に当事務所までお問い合わせください

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