本人訴訟支援
民事裁判の基本は本人訴訟
日本の法律では、民事裁判の手続は、基本的には当事者本人で行う「本人訴訟」が基本となっています。
原則は「裁判は自分でするもの」なのです(これを「本人訴訟主義」といい、反対に、ドイツ等のように裁判手続は必ず弁護士が代理する制度を「弁護士強制主義」といいます)。
「裁判=弁護士に頼む」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、弁護士代理は必須ではなく、当事者本人が裁判所に足を運んで手続を進める本人訴訟も多く行われています。
「自分でする」といっても、一般の方にとって、裁判のような非日常的な手続で何をどう進めればよいのか分からないのが普通です。
そこで、法律の専門家として本人訴訟を支援するのが裁判所書類作成を専門とする司法書士の仕事なのです。
支援内容
本人訴訟支援では、事案に応じて、次のようなことを司法書士が行います。(※)
- 依頼者からの聴き取りと主張内容の整理
- 手続の説明
- 現地調査
- 裁判所に提出する次のような書類の作成
- 訴えを提起する際に必要な「訴状」
- 訴えられたときに反論する「答弁書」
- その後の裁判の進行に応じて双方が主張や反論を書いた「準備書面」
- その他の書類(証拠説明書、各種申立書、陳述書、上申書、意見書)
- 裁判所に提出する証拠書類や添付書類の整理
- 裁判所との期日調整等の事務連絡の代行
- 書類提出代行
- 裁判期日の同行と傍聴
代理人に「手続全部を任せきる」のではなく、「専門的な知識が必要な部分のみを手伝う」のが司法書士なので、比較的安価に司法サービスを利用することができます。
また、手続全体に本人が主体的に関わることになりますので、自分の思いを直接訴えることができ、自身が納得いくように進めることが期待できます。
裁判についてこんな誤解をしていませんか?
【よくある誤解その1】ドラマの弁護士みたいに裁判所でうまく話せないかも…
実際の民事裁判では、当事者(代理人)が裁判所で自分の主張内容を演説したり、当事者(代理人)同士で討論するものではありません。
主張したいことは書面で事前に提出しなければならず、相手の主張も書面で送られてきます。
裁判所では、「(書面で書いて提出したとおりに)陳述します」と言うだけで、全て主張したことになります。
つまり、裁判は、全て書面のやり取りで行うものなので、「上手くしゃべる」のではなく「うまく書類を作成する」ことが何よりも肝心なのです。
たとえ弁護士が代理人になったとしても、弁護士が本当に能力を発揮する主戦場は、裁判所ではなく事務所で書類を作成している段階なのです。
【よくある誤解その2】相手の矛盾をついて「異議あり!」なんて言えるかどうか…
相手の矛盾をついて「異議あり」などという必要はありませんし、そんな発言をするのは逆に間違いです。
現実の裁判での「異議」とは、相手の違法な発言(例えば誘導尋問)に対する抗議であって、相手の主張内容が間違っている場合に行うものではありません。
相手の主張内容の間違いはその場で指摘するのではなく、後でじっくり考えながら書面で指摘するものなので、証人尋問の場合を除けば現実の裁判でドラマのような「瞬発力」や「機転」は必要ありません。
【よくある誤解その3】連日裁判所に通ったり、裁判で時間をとられるのは厳しい…
繰り返しですが、裁判で重要なのは書類の作成です。
そのため、書面を作成するために十分な時間を確保するため、裁判(期日)が開かれるのは、1か月~2か月に1回程度です。
しかも主張は書面で行うので、早ければ1回の期日は10分くらいで終わります。
期日と次の期日の間に、主張内容を書面にまとめて提出し、それに対する相手の反論が来たらまた再反論の書面を提出する、というやりとりが行われます。
書面のやり取りは郵便やFAXで行われますので、1か月~2か月に1回、多くの場合30分程度裁判所に行くだけでよいのです。
【よくある誤解その4】訴えた後は裁判官が助けてくれるから1人でも大丈夫!
もちろん、専門家のサポートを一切受けずに1人で本人訴訟を遂行する方も少なくありません。
しかし、裁判所のサポートを期待しているとすれば、それは大きな間違いです。
裁判所は中立的な第三者の立場ですから、あなたが「裁判の素人」だからといって手を差し伸べてくれたり積極的にサポートをしてくれることはありません(一般的な手続案内程度はしてもらえますが)。
法律的に必要な主張や立証が足りていなくても、本人が気づいて主体的に主張立証しなければ、その主張は存在しないものとして容赦なく判決が下されることになります。
自身が訴えたいことや不満に思っていることを「法的な枠組みに組み替えて主張する」というのは、必ずしも簡単ではありません。
そこで司法書士は、訴訟当事者の生身の訴えを具体的な「法的な主張」として整序し、法律論として裁判官に伝わる書面にすることで、本人訴訟をサポートしています。
本人訴訟が向かない場合
基本的には、司法書士が書類を作成して支援すれば、本人訴訟で十分に裁判を遂行することが可能です。
しかし、代理訴訟を行う弁護士という専門的な職業があるように、本人訴訟では対応できず、代理人に任せなければならない事件もあります。
次のような場合は、代理訴訟をお勧めします。
- どうしても平日に裁判所に行く時間がとれない場合。
- 年齢や健康面で裁判所に行って話すことが難しい場合。
- 事案が複雑で難解な法律構成を要し、内容の理解が困難な場合。
- 医療事故訴訟、税務訴訟、知的財産訴訟等、専門性の強い紛争の場合。
- 「全面的に任せるから、そっちで全部やっておいて」とお考えの場合。
代理訴訟を選択する場合、案件が簡易裁判所管轄の140万円以下の事件であれば、司法書士が代理人となることができます。
その場合は、代理訴訟も当事務所にお任せ下さい。
紛争の対象が140万円を超える場合で、本人訴訟が難しいときは、信頼できる弁護士さんをご紹介させていただくこともできます。
事案によって適切な専門家を紹介するのも、身近な法律家である司法書士の役目です。
(※注)
司法書士が行うのは、書類作成を通じた本人訴訟の「支援」です。
代理人として裁判外で交渉することや、事実上の代理訴訟行為(依頼者から印鑑を預かって事務所から書類を提出する等)は、簡易裁判所での裁判を除いて弁護士法違反となります。
実際に手続の当事者となる方が内容を理解できる書類を作成し、十分にご説明した上で、ご納得いただいたものを提出していただくことになります。
費用
本人訴訟の報酬は次の通りです(全て消費税込みの価格です)。事案の難易度、訴額によって変動します。
着手金 | 55,000円~ 220,000円 |
|
書類作成報酬 | 33,000円~ 55,000円 |
作成する書類1通ごと |
成功報酬 | 0円 |
※上記は目安です。事案によって異なることがあります。
※現地調査等により日当が発生する場合もあります(日当が発生する業務については、予めご連絡いたします)。
本人訴訟はこんなにお得
仮に、1000万円を請求する訴えを提起し、500万円を支払えという判決が出たとしましょう。
判決が出るまでに、訴状1通と、準備書面を4通、陳述書を1通提出したとします。
旧弁護士会報酬規程で弁護士報酬を計算すると、着手金と成功報酬で報酬総額は約140万円です。
これが当事務所の基準では、165,000円(着手金)+55,000円×6通(書類作成報酬)=495,000円で済みます。
これ以外に、成功報酬はいただきません。
誰かを訴えたい、誰かに訴えられた皆さまへ
裁判は、多くの場合、きちんとした書類さえ作成できれば手続自体は難しくありません。
しかし、その「きちんとした書類」を作成するのにも専門的な知識が必要になります。
司法書士は、裁判書類作成を通じて司法サービスをもっと手軽に利用していただくために存在する「皆様に最も身近な法律家」です。
当事務所は、大阪の高槻市役所すぐ近くにあり、北摂地域(高槻、島本、茨木、摂津、吹田)を中心に、大阪府全域と近隣府県を対象に業務を行っております。
土日祝日や時間外の相談、出張相談も対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。