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紛争解決方法

法的な紛争が起こった場合の解決方法は裁判だけではありません。
費やせる労力も費用も限られている少額のトラブルでは特に、できる範囲で最大限の効果を望める手段を選びたいところです。
また、裁判になれば余計に話がこじれることもありますので、適切な手続選択が大切です。

法的な紛争が生じたときに使える制度は色々ありますので、ご紹介します。

交渉の方法

まずは、話し合いでの解決ができないかを模索してみましょう。
当事者同士の話し合いでは相手にされないような場合でも、法律家が間に入ることで進展する場合もあります。
なお、ここでいう「法律家」は、弁護士または認定司法書士(紛争の対象が140万円以下の場合)をいい、これらの資格を有しない者は、その他の資格者(行政書士)であっても交渉の代理人になることはできません。

内容証明

交渉の端緒として、相手に内容証明を出すことがあります。
内容証明自体には、法的には「相手方に通知した証拠を残す」以上の効果はないのですが、例えば、法律家が代理人として職印を押した内容証明郵便を出すことで、相手に本気度を示すことができるなどの副次的効果が期待できます。

もっとも、内容証明郵便を出すことで逆に相手方を刺激し、態度を硬化させる可能性もあるので、慎重な判断が求められます。

支払督促

内容証明と違って法的効果のある手段としては、支払督促という方法があります。
金銭の請求をする場合に限られますが、簡易裁判所の書記官に申し立てると、手続が適法であれば、証拠調べ等を一切せずに相手に督促が送付されます。

この督促に対して相手方が異議を申し立てなければ、仮執行の宣言を付すことができ、この場合は、訴訟で判決を得ることなく強制執行(例えば、給料や銀行口座の差押え等)をすることが可能になります。
正式裁判(訴訟)をすることなく、証拠調べもなく、簡易迅速に強制執行まで行うことができるようになる、強力な手続きです。

ただし、相手方が期間内に異議を申し立てれば、自動的に訴訟手続に移行しますので、その点は注意が必要です。

履行の確保

例えば、お金を請求して、それを実際に返してもらえたような場合は良いのですが、「いつまでに返す」という合意が成立したような場合、一応の解決ではありますが、最終的に合意内容が実現するかは未確定です。

合意書・和解書・覚書

話し合いで合意に至った場合、問題を後で蒸し返さないため、きちんと書面に残すことが非常に大切です。
争いは、しばしば「何も証拠がない」ことによって起こるものだからです。

タイトルも書式も自由でよいのですが、不明瞭な表現などは避け、書面自体が後の争いの原因にならないよう気を付けましょう。

公正証書

上記のような合意内容を記載した書面を、公正証書の形で残すと、より確実です。
公正証書の使い方次第では、強制執行にも備えることができます。

即決和解

「訴え提起前の和解」ともいいますが、当事者同士で和解が成立した場合でも、簡易裁判所に申し立てることで、その合意内容を裁判所が作成する文書(調書)として残すことができます。

即決和解をしておくと、わざわざ裁判をしなくても、裁判した場合と同じような効果があるので、将来相手が合意内容に違反すれば、その和解調書に基づいて強制執行することが可能になります。

裁判外紛争解決手続(ADR)

第三者を交えた手続も、裁判(訴訟)だけではありません。
訴訟以外の手続を裁判外紛争解決手続(ADR)といいます。

ADRを実施する機関としては、裁判所(民事調停や家事調停)、行政機関(各種の行政型ADR)、民間(交通事故における紛争処理センターなど)など、様々なものがあります。
トラブルの種類に応じて適切な手続を選ぶと、当事者同士の話し合いや裁判よりも良い結果につながる可能性があります。
例えば、民事調停や家事調停では、裁判所が関与するので、その合意には強制力があります。
交通事故における紛争処理センターでの合意も、強制力はありませんが、保険会社が関与するので、履行の確保もできます。

裁判(訴訟)

双方の言い分が決定的に異なっている場合は、裁判で決着をつけるしかありません。
いわゆる正式裁判とも呼ばれる「訴訟」は、双方の主張を裁判所に提出して、裁判所が最終的な判断(判決)を示すものです。
もっとも、訴訟手続の中で和解が成立することも多く、双方が主張を出した段階で、法的な見解も踏まえて、妥当な解決が図られることになります。

少額なトラブルの場合、簡易裁判所の管轄となることが多いので、裁判になっても比較的簡易迅速な手続がとられます。
さらに、60万円以下の事件であれば「少額訴訟」という、より一層簡略化した訴訟手続も用意されています。

強制執行

裁判所の判決を取得した場合や、裁判上の和解や調停が成立した場合、あるいは、執行証書を作成していた場合などで、相手方が任意に義務を履行しない場合は、強制執行をすることで、それ以上交渉することなく強制的に権利を実現させることができます。

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