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成年後見に関する審判

そもそも審判とは?

家庭裁判所が行う手続や最終的な判断のことを審判(家事審判)といいます。

簡易裁判所や地方裁判所では、「判決」「決定」「命令」という形式の裁判が行われますが、家庭裁判所で取り扱われる家事事件では、「審判」という形式で裁判所の判断が示されます。
審判に対して、上級審に不服を申し立てる場合は、「抗告」という手続で行います。

成年後見事件も家庭裁判所の管轄ですが、それに関連する様々な審判手続があります。

成年後見制度に直接関係する審判

成年後見の場合

まず思いつくのは、後見開始の審判です。
これは、成年後見制度を利用する際に最初に求める審判です。
これがないと、成年後見事件は始まりません。

後見開始の審判と似て非なるもので、成年後見人選任の審判というものもあります。
これは、本人に後見は開始しているが、後見人が欠けたとき(死亡したり辞任したりした場合)や、追加で後見人を選任する場合になされる審判です。
複数後見になる場合は、その権限分掌や共同行使について定める審判もあります。

逆に、後見人が辞めることになる場合として、後見開始の審判の取消しの審判や、辞任許可の審判、解任の審判などがあります。

成年後見人は、就任したら1か月以内に財産目録を作成しなければならず、また、後見が終了した場合は2か月以内に管理の計算をしなければいけません。
どうしても期間内にできない場合は、家庭裁判所の審判によってこれらの期間を伸長することができます。

後見事務を遂行している途中で必要になる場合があるのが、自宅等を売る場合の居住用不動産売却許可や、利益相反が生じた場合の特別代理人選任の審判です。

後見人に第三者が就任しているような場合は、その報酬を付与する審判があり、この審判を受けずに勝手に報酬を受領することはできません。

あまり意識しないところで、家庭裁判所内部の手続になりますが、後見人の事務を監督するのもひとつの審判事件として扱われます。
後見人に報告書を提出させるような場合「成年後見監督処分事件」という事件名で通知が来ます。

その他、郵便物の回付を求める場合や、一定の死後事務についての許可についての審判もあります。

また、成年後見監督人についても同様に、選任や解任、辞任許可、権限の行使に関する定め、報酬付与の審判があります。

保佐や補助の場合

保佐や補助の場合も、基本的には後見の場合と同じなのですが、特有のものとして、代理権や同意権の付与(あるいはその取消し)の審判があります。
保佐や補助が開始しても、保佐人や補助人には、当然には代理権が付与されません。
補助人には、補助開始だけでは同意権もありません。
そこで、保佐や補助開始の審判と同時に、あるいは、保佐人や補助人が就任後、必要になったときに申し立てて、代理権・同意権の付与の審判がされることになります(なお、補助の場合、必ず代理権又は同意権付与の審判が開始と同時になされます。そうでないと、補助人には何の権限も無いことになってしまうからです。)。

また、保佐人や補助人が不当に同意を拒み、それが本人の利益を害するような場合であれば、同意に代わる許可の審判という制度もあります。

任意後見の場合

任意後見の場合、家庭裁判所は基本的に任意後見監督人について権限を行使します。
任意後見開始の審判や任意後見人選任の審判というものはなく、任意後見監督人選任の審判によって任意後見が開始します。

任意後見開始後の審判の種類は、法定後見監督の場合とほぼ同じです。
直接的に任意後見人に関するものとしては、解任の審判や、任意後見契約解除の許可の審判くらいです。

関連事件についての審判

直接的には、成年後見に関する審判ではありませんが、後見事務を行う上で必要になってくる審判もあります。

例えば、成年後見人と成年被後見人の間に利益相反がある場合、例えば、成年後見人と成年被後見人が共同相続人同士になっていて遺産分割協議をしないといけないようなとき、そのままでは手続が進みませんので、申立てに基づいて特別代理人の選任審判が必要となります。

もっと知りたい!
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成年後見の申立てや後見事務に関するご相談

成年後見の申立ては、色々な書類を準備して書面を作成して管轄の家庭裁判所に提出し、家庭裁判所の審判を求めないといけません。
また、既に成年後見人等に就任している場合に、上記のような家庭裁判所の判断を求める場合にも、各種の申立てが必要になります。

成年後見に関する手続で困ったときは、裁判書類作成と成年後見の専門家である当事務所にご相談ください。

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