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財産目録の作成

成年後見制度は、後見人等の支援者が他人(被後見人等)の財産を管理する制度です。
後見人等は、被後見人等(本人)の財産を適切に管理する義務を負っており、また、成年後見制度が悪用されることがないように、色々な場面で「財産目録」の作成が必要となります。

ここでは、どのような場合に財産目録を作成しなければならないのか、法定後見制度を中心にご紹介します。
(なお、基本的に大阪家庭裁判所での運用に基づいて記載しますので、他の家庭裁判所の運用とは異なる可能性があります)

後見開始申立時

法定後見制度を利用する場合、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てなければなりません。
この申立ては、書面(申立書)を家庭裁判所に提出する方法によって行います(家事事件手続法49条)。

「申立書」自体は、数ページ程度のものなのですが、それだけでは裁判所が後見制度を利用する必要性を判断したり、本人の生活状況、財産状況等を把握することができません。
そこで、申立時の本人の財産を示すため、申立人は、本人の財産について財産目録を作成し、その裏付け資料となる通帳のコピー等とともに申立書に添付することになります。

もっとも、申立人が本人の財産の全てを把握しているとは限りませんし、本人の財産を調査する権限を有しているわけでもありません。
なので、ここでの財産目録は、あくまでも「申立人が把握している財産の目録」です。
「本人がどのような財産を持っているかわからないので、財産目録が作れない」という場合でも、そのことで後見開始の申立てができなくなることはありません。

ここで作成する財産目録は、後見開始の申立てのために「裁判所に提出する書類」として作成するものです。
裁判所に提出する書類の作成(その及び相談を受けること)は、司法書士の独占業務ですので、司法書士(又は弁護士)資格のない者が業として行うと司法書士法違反の犯罪となる可能性があります。
成年後見制度の相談や依頼をされる際は、ご注意ください(※「司法書士」と「行政書士」は全く別の資格です)。

後見人就任時

民法は、「後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。」(853条)と定めており、後見人が就任してから1か月以内に財産目録を作成しなければなりません。
事情により1か月以内に財産調査と財産目録作成を終えることができない場合は、家庭裁判所に対し、財産目録作成期間の伸長の申立てをしなければなりません。
また、同条2項には、「財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければ、その効力を生じない。」と定められており、成年後見監督人が選任されている場合は、その「立会い」(実際には、後見人が作成した目録を監督人がチェックしたり、後見人が作成した目録の原案を基に監督人が清書したりする方法が一般的です)が必要になります。

この就任時の財産目録作成は申立書に添付するものと違って、法律で作成が義務付けられているとおり、後見人が就任時にどのような財産を管理することになるのかを確定する重要なものです。
そのため、原則として、財産目録作成までは「急迫の必要がある行為」以外の権限を有しないことになっています(854条)。

なお、民法に規定されているのは、財産目録を作成することであって、それを家庭裁判所等に提出することまでは法律上規定されていません。

また、保佐や補助については、後見と違って本人の全財産について包括的に管理する権限を有しているわけではないため、後見人の財産目録作成に関する規定が準用されておらず、法律上、財産目録を作成すべき義務がありません。
ただし、家庭裁判所の運用としては、後見人が就任時に作成した財産目録の提出を求めており、保佐や補助の場合についても、保佐人や補助人に代理権が付与されている場合、就任時の財産目録作成を求められます(その根拠としては後述)。

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包括財産の取得時

忘れがちなのが、被後見人が包括財産を取得した際です。
民法856条に、就任時の財産目録作成の規定は、「後見人が就職した後被後見人が包括財産を取得した場合について準用する。」と定められています。
包括財産の取得とは、すなわち相続等により財産を取得した場合をいいます。

就任時の財産目録作成の規定が準用されているので、本人が親や配偶者の相続人として相続財産を取得したような場合は、改めて財産目録を作成しなおさなければなりません。

任務の終了時

被後見人の死亡等で、後見人の任務は終了します。
この場合、後見人(保佐人、補助人にも準用)は、2か月以内に「管理の計算」をしなければならないと規定されています(民法870条)。
後見人等の任務終了の際に行われる「管理の計算」を、特に「後見の計算」といいます。
期間内に終わらない場合の期間伸長の方法、監督人がいる場合の立会い等については、就任時と同様です。

さて、この「後見の計算」の意味については、法律に具体的な規定がなく、必ずしも明らかなものではないのですが、後見人就任期間中の収入と支出を計算して、その変動と現状を明らかにするものだと解されています。
実際にどこまでのことをしなければならないのかは定かではありませんが、実務上は、少なくとも終了時点(あるいは引継ぎ時点)現在の財産目録の作成が行われることが一般的だと思われます。

また、この後見の計算は「誰に対して行うのか」も法文上明らかではないのですが、一般的には、家庭裁判所ではなく、ご本人の相続人等に対して行われるものと解されます。
したがって、大阪家庭裁判所では、特に終了時の財産目録を家庭裁判所に提出することは求められておらず、作成した財産目録は、財産引継ぎ時に相続人に対して交付することになります。

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その他

財産目録は、就任時と終了時にのみ作成すればよいのかというとそうではありません。
民法863条は、「後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め」ることができると規定しています(保佐、補助にも準用)。
後見人の監督の一環として、家庭裁判所(や、監督人が就任している場合は監督人も)は、いつでも後見人に財産目録の作成と提出を求めることができます。
家庭裁判所や監督人から財産目録の作成を指示された後見人は、それに従わなければなりません。

実務上、家庭裁判所からは、包括的な指示として、1年とか半年毎に定期的な報告を求められるほか、何らかの事情があればその時点での報告(財産目録の提出)が求められることになります。

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財産目録の作成でお困りの方はご相談ください

成年後見の申立ての際や、親族後見人として就任しているとき、適切なタイミングで財産目録の作成は正確に行わなければいけません。
財産目録の作成や、その他成年後見に関することで困ったことや疑問に思ったことがあれば、成年後見制度の専門家である当事務所にご相談ください。

大阪の北摂地域(高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町)を中心に、成年後見業務を積極的に行っている司法書士がご相談に乗ります。

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